地味ぱんだ生体日記

なんとなく生きてきてなんとなく存在し、人の影に隠れて生きていきたい私ぱんだのなんとなくブログです。

「ど根性ガエルの娘」を読んでいました。

休んでいる間というかここ数日で「ど根性ガエルの娘」という作品を読んでいました。

 

 

 

これはど根性ガエルの作者である吉沢やすみさんの娘である大月悠祐子さんが書いている家族漫画になります。

以前ドラマ化をされた時に書かれた作品なのかなと思っています。

リバイバル作品としてど根性ガエルは現在に蘇りました、大人になったヒロシ、ヒロシに置いていかれるようにあの日のままのぴょん吉を描いたドラマ(ぼんやりとした記憶になるのですが…)

一話が始まる時に吉沢やすみさんが原稿を落とすかもしれないという電話を娘である大月悠祐子さんが受けるという場面から始まります。

その時に探しに行くという彼女の選択肢はパチンコ屋を巡り雀荘を巡りというイメージとは違う箇所ばかりを走り回るという場面から始まり、やっと見つけた父はパチンコ屋にいて確変が出たので帰らないと言い娘が無理矢理引きずり出すと父は確変が出てるって言っただろうと顔を歪めながらゴミ箱を娘に投げつけるという…少々衝撃が強い所から始まる物語です。

 

最初の1巻は本当に家族の再生ストーリーというイメージを受けました。

私は漫画を読んでいないので話数でしかわからない状態ですが、最初の方は本当に母は父を支え立派に娘と息子を育てというありがちな家族ストーリーになっていました。

作者の方も少しだけ触れているようにこれは最初の出版社元である方の汚い部分や余計な部分は読者には見せないという方針だと理解はしていました。

ただ、この作品の凄い所は出版が変わった後に起こります。

ドロドロと汚いきっと見ても気分を害する人、ど根性ガエルを描いていた作者がこんなにもゲスで最低で人間としてどうなんだという事ばかりを繰り広げていた作者だと思い知らされる話しになります。

そしてそれに付き合っていた母も人格崩壊を起こして、大月悠祐子さん自身も崩壊するという物語が始まります。

綺麗ばかりではない、頑張れば信じれば努力すれば漫画家のあんなにも最低な父しか見ていないのにどうして作者である大月悠祐子さんは漫画家になったのかという疑問を解決だけして終わらない所が凄いと素晴らしいと思いました。

 

以下よりネタバレが含まれるのでご注意ください。

 

最初は崩壊した家族が家族一丸となって再生する物語

そう、本当にどん底にいた家族がどうやって再生して家族としての形を取り戻してど根性ガエルの作者はこういう人間なんだよという父の物語から始まっている風に思います

ただ、この物語の主人公はやっぱり大月悠祐子さんだと思います。

彼女の視点で物語は進みます、幼少期から父に振り回されど根性ガエル連載終了語13本の漫画原稿を落として父吉沢やすみさんは失踪します。

家族の前から忽然と姿を消して彼は死を選びそうになっていました、屋上に登り柵に手をやり飛び降りをしようとしていました、そこで彼は恐怖だけで自殺をやめます。

そしてポケットに入っていた数万円で家に帰らずに失踪をするという選択肢を選びました、それからホームレスまがいな事をしながらただただギャンブルに明け暮れています

どん底な場所から始まるストーリーは本当にどうしようもない話です。

 

同時に母は聖母のように書かれています、子供達の為にご飯を確保して立派に育てようと奮闘する彼女は本当に母の鏡のようにかかれていました。

父を支えて父を許して、父をただ愛する彼女に私は違和感ばかりを覚えています。

 

最後に1巻は発売したものの打ち切りになるという連絡が編集からきます。

ここから作風ががらりと変わります。優しい優しいただぬるま湯の中に使って家族の再生を描くだけの物語ではなくなります。

 

大月悠祐子さんが伝えて描きたかった物語

この物語はそもそもKADOKAWAヤングアニマルに移籍をして出版されています。

KADOKAWAにて1巻を発売したがあまり部数も売れずに打ち切りとなりました。

あと2話で2巻分という所での終了となり、彼女は2話分の原稿を編集に渡さずに打ち切りとしました、移籍をしてでもこの先の物語を描きたい本当の家族を描きたい伝えたいという思いから彼女はその道を選びました。

 

そこからがらりと作風が変わりました。

まず聖母のように優しかった母は娘である大月さんが成長したのちに辛く当たり暴言をはきあなたのためだという言葉で彼女を追い詰めていきました。

そしてまた大月さんである彼女自身も壊れます、拒食になり反動で過食となりました。

そしてそのまま引きこもりになり体重増加をし髪も洗わず汚いままになり食べる事だけを生きる糧にしていました。

その時の絵がとてもリアルに感じました、まるでぼやけて自分がどうしたいのか…どうやって生きていばいいのかわからない彼女を描いているみたいでした。

とても胸が締め付けられるように感じました。

その後もしんどく辛い事ばかりが続きます、また弟にもスポットをあてて彼なりの葛藤も描かれていますバラバラになる家族が許される瞬間を繊細に書かれています。

ただ…彼女は本当に脱出できたのか許したのかわからなくなります。

 

父に感じる恐ろしさや圧迫感はいつまでも過ぎ去らず顔色ばかりを伺う。

彼の正解の返答を探しただ顔色を伺う、母に対しても対話ができないと諦める。

このストーリーを読んでいるととても…大月さんは許したわけではなくてただ辛かったんだと自分は辛かったんだよということを家族に伝えたい為に描いてるのではないかと思いました。

 

その描写が一部ありました、彼女が両親弟に向けて父に土下座をするというシーンです

 

ガクガクと震えながらただ父に財布をとられたお金を盗まれたという妄想を父に謝るという事なのだと思います、真実は捻じ曲げられ彼女の妄想だとされました。

 

そのシーンで彼女が震えているにも関わらず家族は何語もなかったようにご飯を食べテレビをみる家族になっていました。

そのシーンを見る限り大月さんは家族にむけたメッセージをただ描いてるのだと思います、謝って欲しいわけでもなくただ辛かった事を理解してほしいという感情なのではないかと感じています。

 

それを読むだけで頑張った頑張ったと思いますし、泣きながら読んでいました。

 

ヤングアニマルに移籍をする場面にも感動を覚えています、売れているのかと思えば打ち切りだと大月さんの旦那様に聞いた編集者さんが是非うちに!!という言葉から生まれあの噂のT田さんというか羽海野チカさんの編集である彼も登場しています(笑)

彼が来いという声でヤングアニマルでの連載が決定しました。

 

そこから本当に作風が代わり汚い部分がとても見え隠れしてとてものびのびと自由に生きてるのだと理解でき気持ちわるい聖母のような母はいなくなりました。

 

この作品は本当に衝撃を覚えて素晴らしいと思います。

漫画家の家族の大変さ、辛さ、寂しさ、孤独、惨めさ、楽しさ、幸せ。

全てが詰まっている漫画だと思います。

 

現在無料で読めるアプリがあります。

マンガparkというアプリで現在も続いています、白泉社の作品が読める素晴らしいものなのですが、そこで読めるのですが私は一気に読み切りました。

無料で読めるというのがとてもいいです、はー読み終わった今も素晴らしく心に残ったままです。